6月議会一般質問全文⑤多目的スタジアムの建設

2022.06.16
【質問】
 秋田市が検討している外旭川地区のまちづくりモデル地区整備事業では、イオンタウン株式会社がパートナーとして選定され、先端技術を駆使したモデル地区の整備や、秋田市の卸売市場の建て替え、そして新スタジアムの建設も含めた議論が秋田市議会を中心に行われています。秋田市のまちづくり構想そのものの是非は市での議論に委ねるとして、ここでは県の財政的支援が明確に求められている新スタジアム構想について一点だけ質問いたします。
 先日、同社による整備構想を拝見しました。その中に描かれていた新スタジアムは屋根付きのものですが、屋根が開閉するのではなく、芝生のピッチ自体が外に出たり入ったりする移動式のものでした。これまでの私の認識では、サッカースタジアムは天然芝の養生のためどうしても試合のない期間の稼働率が下がり、サッカーファンや関係者以外から大きな支持を得やすいものでは正直言ってありませんでした。しかし芝生のピッチ自体が可動式ということであれば、試合をしていないときは屋根の外にピッチを出して養生を行い、その間巨大な屋根付き空間は自由に他の用途に使用できることになります。この違いは、これまでのスタジアムに関する議論を根本から変えるほどに大きいのではないでしょうか。
 J2リーグの年間試合数は1チームあたり42試合、そのうちホーム開催が21試合です。これまでは、年間たった21試合のためにサッカー専用スタジアムを作る必要があるのか?というご意見も多かったわけですが、試合のない日はいつでも他に使えるというのならば話は別です。これはむしろ逆に、年間のほとんどの期間、1万人をはるかに超える大型のライブやコンベンションを誘致できるハコが存在し、それらのない日は地域スポーツ、いざと言うときには巨大な防災拠点と、極めて汎用性と公益性の高い屋根付き施設として運用できるということになります。来年2月、私の所属する商工会議所青年部が、史上初めて全国大会を秋田で開催します。コロナ前なら全国から例年5,000人ものビジネスマンが集まる巨大な経済効果をもたらすイベントです。何年も前から私たちは準備してきましたが、そうした巨大なコンベンションを堂々と開催できる施設は県内にはなく、メインイベントは県立武道館を会場にギリギリの収容人員で計画しています。この度完成したミルハスはすばらしい施設ですが、最大定員2,000人では全く足りないイベントも潜在的には多数存在し、これまでは単にハコがないから秋田に呼べなかったのだ、ということを知事にはご理解いただきたいと思います。
 イオンタウンの構想は、新スタジアムの整備費を143億円とし、県と秋田市にそれぞれ33億円の支援を求める内容となっています。知事はこれまであまり前向きなご発言をされていませんが、これはサッカー専用スタジアムではなく、「多目的スタジアム」なのであるとの認識をもって、今後は検討すべきではないでしょうか。私たち若い世代としては、この費用は将来への負担の先送りではなく、秋田がもっと稼げる、そして全ての世代にとって夢を抱ける地域になるための有意義な投資であると思っています。新スタジアム構想を、これからは幅広く県民の利益となる多目的スタジアムとして検討していただくことについて、知事のお考えをお聞かせください。
【答弁】(知事)
 行事やイベント等の開催を通じ、地域のにぎわいを創出するとともに、交流人口を拡大していくことは、人口減少社会にあって、極めて重要であるものと考えております。
 今月五日には、東北最大級の規模と国内最新の設備を有する「あきた芸術劇場ミルハス」がプレオープンとなりますが、この施設も交流人口の拡大を目的に整備したものであり、九月のグランドオープン以降は、3,000人規模の参加が見込まれている第64回建築士会全国大会など、大型行事の開催が多数予定されているところであります。
 また、現在、基礎調査を進めている新県立体育館には、アリーナ機能を持たせることで、より大規模な行事の開催を可能とする方向で検討を行っております。
 秋田市が検討している外旭川地区まちづくり事業については、先般、企業側から新スタジアム整備を含むプランの提案がなされ、パートナー協定が締結されたところであります。
今後、秋田市においては、このプラン全体の実現性や土地規制などの観点を踏まえ、施設の配置や必要な機能について整理しながら、具体的な構想作りを行うことになっており、その中でスタジアムの整備についても、事業費の妥当性も含めて検討が行われるものと捉えております。
 もとより、公共的な観点から、スタジアムについて県としても一定の支援をする方針でありますが、パートナー企業の提案は概括的なものにとどまっていることから、市によって再構築された具体案を見極めた上で、対応を検討してまいります。
※写真はブラウブリッツ秋田によるイメージ画像です。