「コロナはただの風邪」なのか?

2020.08.18

日本で新型コロナが騒がれ始めて半年が過ぎました。

思い返すと最初に中国、そして欧州・米国での医療崩壊のニュースに戦慄し、何としても日本での感染爆発を防がなくてはならないと「大多数の国民」が強く思っていたのが3~5月頃でしょうか。しかし6月に日本の第1波は終息か?という雰囲気になり、そして国内サービス業などの経済危機が顕在化し始めた頃から、コロナ恐るるにたらず!という威勢の良い論調が目立ち始めました。

私はYouTube動画でも主張している通り、経済社会活動との両立をめざすべき段階だと考えており、「感染予防至上主義」に異議を唱えていますが、その考えと「コロナはただの風邪」論とは明確に異なるものです。

ワクチンと治療薬のいまだ存在しない、かつ感染力の強いウィルスはまさに「どこまで爆発的に拡大するかわからない」のが最大の恐怖ではないでしょうか。1918~1920年に全世界で数千万人が亡くなったとされる「スペイン風邪」も、今でこそ「インフルエンザ」として慣れ親しまれて?いる感染症ですが、それもタミフルなどの治療薬が確立しワクチンも普及している現代だからこその話。それらのなかった当時では、ペストや天然痘などと同じく、歴史を変えるほどの悪疫であったことを忘れてはならないと思います。

健康な若者にとっては怖くない病気かもしれませんが、いま高齢者に感染拡大すればたちまち医療現場はひっ迫し、日本もかつてのイタリアやニューヨークのような状態になる可能性が十分にあります。「ただの風邪」と断定しても問題ない人々も多くいる一方で、そうした方から感染して重症化~死亡へ至ってしまう方々も日本には(特に秋田には)たくさんいます。「ワクチン・治療薬のいまだ存在しない」現段階において、新型コロナはただの風邪などでは決してないことを肝に銘じなければなりません。

それを理解したうえで、経済社会活動をどうやって回していくのかという話だと私は考えています。日本の失業率と自死率には強い相関性があり、今の経済状況が続くと、コロナ感染による死者数を「コロナ不況による自死数」があっという間に上回ってしまう可能性すらあるのです。

もはや秋田県においても「感染発生の絶無」は不可能であり、目指すべき目標でもありません。いかにして「すべて中止」「完全自粛」ではなく、かつ感染者を極少化できるのか。そして感染者が出たとしてもいかに医療体制を維持して生命を守り抜くのか。これらは私たち一人一人の行動変容にかかっていると思います。感染者への誹謗中傷も、「ただの風邪」論も、いずれもそれらには寄与しないのではないでしょうか。