一般質問と答弁の全文③(中堅・成長企業の育成支援)

2020.06.24

ところで一定規模以上の中堅企業は、自らの経営努力によって売り上げを伸ばし、雇用と投資を拡大して成長してきた優良企業であり、これは経営者の能力の証です。私はこうした企業にこそ何とかこのコロナ危機を生き延びてもらい、新しい時代の秋田をリードしてもらわなければならないと思います。

しかしこれまでの国の持続化給付金や県・各市町村の支援策は、ほとんどがスピードを重視して全事業者への一律金額による支援であり、その結果零細企業にとっては粗利数か月分にもなる手厚いものとなった一方で、従業員数十人以上かつ売上数億円以上というような企業にとっては、1か月分の固定費にも遠く及ばない「焼け石に水」程度の支援となっていました。これらは緊急支援策としては仕方のないものだったと理解していますが、今後の中長期的な経済支援においては、より生産性の高い中堅企業や成長途上の若い企業を重視した戦略こそ重要だと考えます。県では製造業においてものづくり中核企業という制度により重点的な産業育成を行っていますが、これと同じ仕組みを広く第1次産業や第3次産業にも適用するなど、中堅企業と成長企業の育成支援により力を入れていただきたいと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。(Q③-1)

(③-1知事答弁)
今後は、アフターコロナの大きな社会変容に対応するとともに、この状況をチャンスととらえ、他との差別化を図っていくようなトップランナーを育成、支援する必要があると考えております。
県ではこれまで、ものづくり中核企業や地域への資金循環をもたらす「コネクターハブ企業」の創出を重点的に進めてまいりましたが、今年度からは、こうした取組に加え、企業間連携なども含め、更なる事業規模の拡大等に向け、サービス業を含めた上場を目指す県内企業への支援を行うことにしております。
上場の実現には、人材の確保や経営分析も求められることから、支援機関も巻き込んだサポートを行うなど、本県経済をリードする成長企業の創出に県を挙げて取り組んでまいります。

 

さらに、やむなく事業継続を断念する企業に対しては、単なる倒産・解雇というハードランディングではなく、できる限りその事業を合併や買収などで他の企業に承継し、雇用維持と技術の継承そして企業の規模拡大を進める取組も大事だと思います。県はすでに事業承継支援センターを運営しておりますが、平時のじっくり時間をかけた事業承継という切り口だけでなく、コロナ危機対応型の緊急的な再編の重要性も増しています。また合併や買収までは行かなくとも、同業者間での協業により生産性を高める動きも各業界で始まっています。国の交付金の増額等でもし余力があるのであれば、今度はこうした発展性の豊かな事業再編や協業の取り組みを思い切って支援すべきではないかと思いますが、産業労働部長のご所見をお聞かせください。(Q③-2)

(③-2部長答弁)
県では、事業の再編に向けた機運を醸成するため、中小企業におけるM&Aの事例や具体的な取組に関するセミナーを開催することにしております。
こうした中、ひっ迫する医療体制を支えるため、県内の中小企業者がそれぞれの強みを出し合い、「ものづくりチームAKITA」として医療物資等の生産に取り組むなど、これまで以上にグループ化や協業化の成果が現れてきているものと考えております。
中小企業者の連携は、生産性向上の観点からも重要であると認識しており、業務提携等により課題解決を図る先進事例を紹介するほか、グループに対して各種支援制度の補助率を優遇するなど、中小企業者の意欲的な活動を一層支援してまいります。