一般質問と答弁の全文①(事業転換の促進)

2020.06.24

6月19日、一般質問に登壇しました。

かなり長いですが、質問の全文と答弁を項目ごとにこちらへ掲載いたします。

特に産業構造の転換については批判を覚悟で思い切って申し上げましたのでご覧ください。

 

【6月一般質問&答弁の全文①】
19日(金)に行った一般質問について全文と答弁をUPします。何かわかりやすい動画を・・と思って色々やってみましたが、難しかったので結局これまでどおりFBに掲載します。申し訳ございません。
自分としては批判覚悟のかなり思い切った内容なのですが、今のところあまりご意見はいただいておりません(^^;

産業構造の転換(1)事業転換の促進

新型コロナウィルス感染症によって、わずか数か月間で世界が変わりました。
本県ではもう2か月以上新たな感染者が出ておりませんが、日本全国、また世界では早期の収束は考えにくい状況になっております。つまりこれからはこの感染症と共存していかざるを得ないという、全く新しい時代に世界は突入しました。
知事は5月の県政協議会においてパラダイムシフトという言葉を使われました。今回の感染症によるパラダイムシフトは、集中から分散へ、遠くより近場で、といった秋田には良い風向きとも思えるものですが、現実はそう甘いものではありません。私は5月下旬、県内企業への影響を把握するために500社に対してアンケートを実施し、318社から回答を得ました。半数以上の企業が影響は「極めて大きい」または「ある程度大きい」と回答し、業種によっては約61%が今後の見通しが立たないとするなど、苦境に立った企業の悲痛な声が多く記載されております。詳細の結果はまとめて後ほど各部局にお伝えしようと思いますが、現実を直視すればするほど状況は厳しく、もはや痛みを伴わずして明るい未来など到来しえないことを改めて確認する結果となりました。次世代への責任とか、子どもたちの未来につなぐとか、私たち政治家はよく美しい言葉を使いますが、実際にやっていることは対症療法で、目の前の要望を満たすことを優先して結局負担は先送り、ということがほとんどではないでしょうか。その方が選挙には有利かもしれませんが、そんなことでこの困難な時代を乗り切って、秋田の未来を切り開くことなどできないと私は思います。本日は、ご批判も覚悟した上で、コロナ時代の秋田県について私の考え方を申し上げ、県の見解を伺いと思います。

初めに産業構造の転換についてお聞きします。
私の考えるコロナ時代の産業構造の転換は、3つの考え方があります。まず「事業転換の促進」、2つ目が「世代交代と再編による生産性の向上」、そして「秋田の文化を守る」、です。
この度のパラダイムシフトで人々の消費行動には大きな変化が生じ、業種によっては残念ながら仮にワクチンが開発されたとしても以前の水準まで需要が回復する見込みがない、と言えそうなものもあります。飲食業や宿泊業などは今回最も瞬発的に大きな被害を受けておりますが、これが一時的な影響なのか、どの部門がどの程度まで元に戻るのか、そして逆にどの分野がこの先伸びていくのか、様々な論説が飛び交っております。私は秋田県として今この変化をしっかりと見極め、全ての業種・全ての事業者のこれまで通りの事業継続を支援し続けるのではなく、今後は新しい時代に適応していける産業と、のちに述べる秋田の文化として守らなければならない産業に対して、秋田の人材等限られた資源が再配置されていくような方向に舵を切るべき時ではないかと考えます。つまり何が何でも事業は継続、雇用は全て守る、というのではなく、先行きが厳しく事業継続の意欲が弱くなっている業種には、事業の整理や縮小、従業員の転職をむしろ促進していくという方向性です。冷徹なように思われるかもしれませんが、この先ますます急になっていく上り坂を、わずかな給水支援だけでいつまでも登らせ続けることが本当の優しさとは私には思えません。現実に中小零細企業のなかには、給付金等で一息ついたものの、今後の需要回復が見通せず事業継続するか否か迷っておられる経営者も多くいらっしゃいます。ここ数か月の緊急的な支援は別として中長期的な観点では、業態や経営者の意欲によっては早めに見切りをつけて新しい活路へと再チャレンジしやすい環境を整えることもまた大切なのではないでしょうか。

そのためにはまず、全県を挙げて事業転換に関するパラダイムシフトを起こすことが重要だと思います。倒産、廃業、店じまいといった言葉には当然後ろ向きなイメージがありますが、コロナ時代の秋田に限ってはそうではないと。今回ばかりは経営者の責任ではなく、たまたま時代の大きな変化に遭遇しただけであって、いま業態を変えたり事業経営をやめて再就職をすることは全く恥ずべきことではない。これは新たな時代への勇敢なチャレンジなのだ!という考え方です。
人は心の持ちようによって大きく変わることができます。苦境にある皆さんに勇気を与え、産業構造と労働市場を流動化させるような機運を秋田に巻き起こすべきです。そして現実にも再スタートを後押しするための、適切な事業整理に関するアドバイスやM&Aの仕組み、再就職を強力に支援する体制こそが、いま求められているのではないでしょうか。知事には、この「再スタート応援キャンペーン」を始めていただきたいのですが、いかがでしょうか。

(知事答弁)
これまでの世界の産業史を振り返れば、戦争や動乱、あるいは今回のような感染症の拡大などにより、産業構造の転換を余儀なくされ、まさにパラダイムシフトとなった例が多く見られますが、我が国においては、このような事態に至った時、ともすれば現状維持という視点に陥りがちであります。
私が県庁に入った昭和40年代、日米繊維交渉での日本は、これまでの主力産業であった繊維産業を可能な限り残そうという守りの姿勢でありました。
一方、ドイツにおいては、逆に、より競争力のある産業、すなわち自動車産業に経営資源や人材を移す動きが顕著になり、それが現在のドイツにおける自動車産業の力の源泉となっております。
時代とともに業種の浮き沈みはあり、先が見通せないような業種においては、可能な限り軟着陸を図りながら、より成長性の高い業種あるいは業態への転換に、行政の支援の軸足を移すことが、全体最適に合致するのではないかと考えております。
しかしながら、行政主導により施策の方向性を唐突に変えることは、事業者への影響が大きいことから、十分に需要動向を見極めながら、説明を尽くし、事業転換を支援していく必要があります。
現在、アフターコロナにおける県政推進の新たなビジョンの作成に取りかかっており、そのような施策展開についても、十分に検討し、商工団体や金融機関も含めた総合的な体制によって、推進していく所存であります。