一般質問と答弁の全文④文化の支援とセーフティネット強化

2020.06.24

産業構造の転換についての3つ目の考え方は、秋田の文化を守る、です。
ここまでは、産業構造や生産性など大きな観点からお話ししてまいりましたが、それだけで語ってはならないのが「文化」だと思います。コロナ後の秋田県には、しなやかで強靭化した経済だけではなく、私たちが脈々と築き受け継いできた伝統や文化がしっかりと残っていなければ、ここが秋田であり続けることはできません。有形無形の文化財だけではなく、秋田の大きな魅力である酒や食文化、地域ごとの行事は、一部産業でありながら産業支援とは異なる文脈でしっかり支えなければならないと考えます。そして観光業のインフラとしての宿泊業や公共交通、多彩な個性が地域の魅力をなす飲食業や特産品製造販売業等についても、単純な生産性とは切り離して行政が確実に守っていかなければなりません。行政として線を引くのが非常に難しいことは理解しますが、秋田県の文化の存続支援についての知事のお考えをお聞かせください。

(知事答弁)

本県は、四季を通じた伝統行事や発酵食品などの豊かな食文化、歴史と風土が育んだ工芸品など、独特の魅力ある文化を数多く有しており、これらが宿泊業や交通事業などの様々な産業と有機的に結びつくことにより、本県観光を支える重要な基盤となっております。
もとより、秋田の風土が育んだ有形無形の多様な文化的資源には、樺細工などの工芸品や清酒、温泉郷、各地域の祭りなど、私の祖先が庇護してきたものも多く、時代は変わっても、このような貴重な資源や事象を大切に守り、育てていくことが、私自身の使命と考えております。
こうした中で、特に観光関連産業は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、大きな影響を受けていることから、このたびの経済対策では、プレミアム宿泊券と飲食券による県内経済の循環促進や、地域の特色を生かした観光地づくりの支援などにより、事業継続に向けた後押しを行っているところであります。
一方、感染症によって、人々の意識や行動が大きく変化してきており、これからは、人口過密な大都市圏が敬遠され、ゆとりある地方が注目される時代になるとの見方もあり、「高質な田舎」を将来像に掲げる本県にとっても好機になりうると考えております。
今後、新しい時代において、本県観光が持つポテンシャルが最大限に発揮されるよう、地域のコンテンツの魅力向上や、伝統の強みを生かした商品開発など、独自の文化に根ざした産業の持続的発展につながる取組を積極的に支援してまいります

 

(質問)
次にセーフティネットの強化について伺います。
ここまでに述べた痛みを伴う変革では、セーフティネットの実効性を担保することが極めて重要です。変革期には必ず弱い立場の方にしわ寄せがいきますが、そうした場合でも決して生きる望みを失ってしまうことがないようにするのは、行政の最も重要な責務だと思います。
今回のコロナ禍で痛感したのが、セーフティネットの制度はあるのに十分利用されていないという現実です。緊急小口資金、総合支援資金、住居確保給付金などの制度はそもそも十分に周知されておらず、最後の砦である生活保護も、心理的抵抗感や申請手続きのハードルの高さなどから利用に至らない方が少なくありません。県がコロナ危機に際して積極的に情報発信していることは評価しておりますが、困窮した方々に対してはPR方法にも別に工夫が必要です。私のささやかなSNSの発信でも、それを見るまで知らなかったといわれることも実は珍しくありません。ことセーフティネットに関しては人の命に関わることですので、県として十分PRはしているので見ない方が悪いという考え方ではなく、あらゆる手段を尽くして支援を行きわたらせていただきたいと思います。また第1波のころと異なり今は少し検討の時間もありますので、特に生活の厳しい世帯や、収入減少の要件に合致しない等で支援制度の隙間に入ってしまっている方々など、個人に対するキメの細かい生活支援に国の交付金を最大限活用していただきたいと思いますが、健康福祉部長いかがでしょうか。

(部長答弁)

生活福祉資金など生活支援に係る各種制度については、県ウェブサイトや新聞等で周知を図っているほか、市町村社会福祉協議会等に依頼し、緊急事態宣言発令中に、要援護世帯や生活困窮世帯等の約5,000人に対し、電話や訪問により状況確認を行うとともに、福祉サービスの周知や助言をしたり、適切な関係機関を紹介し引き継ぎを行ったところであります。
新型コロナウイルス感染症の生活への影響については、時間の経過とともに、更に大きくなることが懸念されるため、今後は、国の交付金も活用して、SNSなどの様々なメディアでの情報発信により、一層の周知を図るほか、相談支援機関と連携し、家庭訪問等による相談を継続するなど、個別の事情に配慮したきめ細かな生活支援に努めてまいります。