「地球に負荷をかけずに生きていく」ことがこれからの時代の至上命題。秋田県は広大な森林面積による大きなCO2吸収力と風力や地熱など豊富な再生可能エネルギーによって、すでに日本の先頭付近を 歩いています。国は2050年カーボンニュートラル(CO2の排出実質ゼロ)達成を目標としていますが、秋田県は県としてそれよりも前倒しで、日本で最初にカーボンニュートラルを達成し、食糧供給能力とあわせて「日本一持続可能な県」を目指します。そして若い世代に対し、環境負荷の小さい秋田でくらしながら、地球環境を守る仕事に就く新時代のライフスタイルをアピールし、定住人口の増加につなげます。
すでに整備されている教育訓練施設や日本海側で最大の船舶上架施設、そして整備中の再生可能エネルギー100%の工業団地などの強みを生かし、沿岸地域に人とモノを集めて経済効果を最大化します。風車の建設・維持管理は、これまで秋田になかった質と規模の雇用を生むことに加え、さらなる企業誘致、ホテルやアパートの建設需要、飲食業の振興などチャンスは様々。県内事業者の果敢な挑戦をあと押しします。
需給のバランスを一定に保たなければならない発電事業において、発電量に波のある風力発電は、出力調整のために発電をストップしている時間帯が少なからずあります。今後こうした「捨てている電力」は、蓄電池、アンモニアや水素などの蓄電技術による活用が進めば、余剰電力を地元で安価に利用できる可能性が開けます。地域で作るグリーン電力を地域で使う、循環型エネルギー社会の構築を目指します。
全国一の面積を誇る秋田県のスギ人工林。膨大な森林蓄積によるCO2吸収力は全国有数ですが、その多くが樹齢50年前後の高齢木で、徐々に吸収量が低下しています。これら伐期を迎えたスギ等をしっかり活用し、再造林と管理を進めることによってさらに日本の脱炭素に貢献する。今日ではその営み自体が、カーボンクレジット制度や森林環境譲与税等により経済的価値につながる時代となりました。少しずつ増えている若手の林業家たちにもっと活躍してもらい、農山村でも安定した収入を得られる地域をつくります。
木質チップ・ペレット・生ごみ・もみ殻などのバイオマスエネルギー活用や小水力発電が、県内各地で導入され、または実証試験が行われています。まだまだ技術面・採算面での課題はあるものの、地域で得られる多様なエネルギー源を地域で消費する循環型エネルギー社会は、近い将来必ずトレンドとなるものです。短期的な利益のみに拘泥せず、大きな視野で挑戦的に普及を図り、県民のエネルギー負担を小さくすることを目指します。
たとえば毎年多額の機器更新費や電気量がかかっている道路信号機。交通量の少ない郊外で、誰もいないのに24時間稼働しているものも県内各地に見られます。こうした交差点を、諸外国では一般にみられる「ラウンドアバウト」という信号機のないロータリー型交差点に逐次置き換え、将来にわたって電気を使わず災害にも強い道路インフラを整備します。